多くの薬は胎盤・へその緒を通してお腹の赤ちゃんに届きます。

お母さんにとって効果がありメリットがある薬でも、それを必要としていない赤ちゃんにまで作用してしまうのです。

それによって妊娠15週までだと先天奇形を生じ、15週過ぎても赤ちゃんのカラダの機能や発育に支障が生じます。

したがって、赤ちゃんへのリスクがない(少ない)ものをチョイスし、お母さんへの効果と赤ちゃんへのリスクを天秤にかけながら内服を決めなくてはいけません。

それには、必ず医師の判断が必要になりますが、参考までに内服しても安全といわれる薬と、注意が必要な薬を一部紹介します。

抗菌薬

ダメな薬

  1. テトラサイクリン系:(商品名:アクロマイシン、ミノマイシンなど)
    8週ころの歯が形成される時期に内服した場合、歯着色(黄色になる)の原因となります。
  2. アミノグリコシド系:(商品名:ストレプトマイシン、カナマイシンなど)
    水腎症、腎形成の異常、聴覚障害の原因となります。
    ※アミノグリコシド系であるゲンタシン軟膏はニキビ・虫さされなどに処方される薬ですが、赤ちゃんへの影響は問題ないとされているため、処方されることがあります。

 

避けたほうがよい薬

  1. ニューキノロン系:(商品名:クラビット、タリビットなど)
    動物では骨格の異常などみとめられ、安全性が確率していません。
    膀胱炎や性感染症、海外旅行での下痢治療薬として処方されることが多く、妊娠に気づかずに内服してしまう人がいます。しかし、高い確率で再奇形性が生じるわけではないので、心配しすぎて心身に影響がでてくるよりも、ゆったりと過ごしていたほうが赤ちゃんへの影響は良いです。
  2. クラリスロマイシン:(商品名:クラリス、クラリシッドなど)
    クラミジアやマイコプラズマ肺炎の治療薬として使われます。
    人間にはテストしていませんが、動物では催奇形性が報告されており、できれば避けたい薬です。
  3. ST合剤:(商品名:バクタ)
    肺炎や膀胱炎、腎盂腎炎、腸チフス、膀胱炎などで処方されます。
    動物では催奇形性がありできれば避けたい薬です。

 

安全性が高い薬

  1. ペニシリン・セフェム系:(商品名:フロモックス、トミロン、バナンなど)妊婦さんが感染症にかかったときの第一選択として使われています。
  2. マクロライド系(クラリスロマイシンを除く)
    リケッチア、クラミジア、マイコプラズマに処方されます。
    アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)、エリスロマイシン(商品名:エリスロシン)などは催奇形性はありません。

 

抗インフルエンザ薬


避けたほうがよい薬

  1. アマンタジン:(商品名:アマンタジン、シンメトレル)
    催奇形性について不明があるため避けた方がよい薬です。

 

安全性が高い薬

  1. オセルタミビル:(商品名:タミフル)
    日本の産婦人科学会でも妊婦さんの使用が認められています。

 

解熱鎮痛剤・抗炎症薬


避けるべき薬

  1. インドメタシン(商品名:インダシン)、ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)
    心臓(動脈管閉鎖を促進)やカラダの機能や発育へ障害をきたします。
    妊娠後期に使用した場合、羊水が少なくなりお腹の中の環境を悪くする危険があります。
    また、動物への催奇形性が報告されているため、妊娠初期も避けるべきです。
  2. アスピリン:(商品名:バイエル)
    催奇形性は問題ありません。
    しかし妊娠後期での使用は難産・死産などの報告があり控えるべき薬です。
    また必要があって内服していても、出産時に止血されにくくなるため、医師との相談の上、分娩予定日2週間前から中止します。

 

安全性が高い薬

  1. アセトアミノフェン:(商品名:カロナール、パラセタモール)
    催奇形性など影響はほとんどなく、昔から妊婦さんによく使われています。